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まず、デンマークにおける老人福祉の歴史というよりも、デンマーク人が老人とは何かという理解の仕方の変化を述べてみたい。
1960年代には核家族化が進み、ほとんどの老人が別居となり、三世代同居は稀な存在となった。それゆえ、日常生活に支障をきたすようになってきた老人は病人とみなされ、「老人ホーム」に収容され、医者や看護婦、準看護婦などによって医療と介護を受けた。肉体的に健康老人であっても、精神的、社会的な介護支援を目的に収容されていた者もあった。
1970年代になって老人は病人じゃないが「余生を楽しむ人たち」だから、その介護支援は十分よくしてやるべきだとその見方が変わってきた。しかし、個室がたてまえの「老人ホーム」での生活にはあまり変化は生じなかった。これが大きく変わり始めたのは1980年代の前半からであった。
これまで築き上げてきた社会福祉政策のために国は膨大な累積赤字に苦慮した。しかし、政府は社会福祉の質を落とすことは国民にとっては拷問と同じことであるから、これ以上お金をかけないで、これまでより良い福祉を実施する方法はないかと、1983年に高齢者福祉審議委員会を発足させた。老人福祉にかかる費用が全福祉にかかる費用の約60%にも及ぶので、この審議委員会の答申に大きな期待が持たれたのであった。
答申の主旨は「老人を第三の人生」と位置づけた。この第三の人生期を全うするため、今後、デンマークでは特別養護老人ホームを作らないで老人住宅を建設することとなった。
自己決定とは何か。老人になったからといって人に管理されて生活するのでなく、自分の意志を尊重してもらいながら、金銭管理なども含め日常生活を送るようにすることである。 自己資源の開発とは、自分が持っている知識、技能を地域社会に還元しながら自分の生き甲斐にすることと、例えば肉体的に半身不随になったとしても使える部分は徹底的に動かしていくことである、
"Help to self help"が老人介護のキーワードになっている。
デンマークの在宅とは広義に解釈すると、かつてのプライエム在住者も現在は自己決定に基づいて住宅費を払って住んでいるから在宅とみなされる。それゆえ、24時間介護体制とは、デンマーク国内どこに居住しようが必要なときに必要な介護が受けられることをいう。
以上が安心して老いられる国・デンマークの高齢者福祉の概要である。